大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和40年(手ワ)72号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一) まず、本件においては、何人を被告と認むるべきかが問題となつているが、当裁判所は、

a 事実の項(三)に摘示した本件訴訟上の出来事、

(註、事実の項(三)……原告は、次のとおり主張した。「奥林理市は、ブローカー等の営業をしていたが、自已に信用がないので、弟の被告奥林昭二名義で銀行取引をなし、商取引上の手形もすべて被告名義で振り出していた。そして被告は、右の事実を熟知しながら理市のこうした行為を中止させることなく黙認していたものであり、原告は、被告自身が取引の相手方と信じていた。右の次第であるから、民法第一〇九条、商法第二三条の法理に従い、被告は、理市にかかる本件各手形の振出行為につき本人としての責住を免れることができない。」)

b 本件係争の各約束手形は、いずれも奥林理市によつて振り出されたけれども、同人は、手形上「奥林昭二」の氏名を振出人として表示していることは、当事者間に争がなく、さらに、甲第一号証の一ないし三によれば、これらの手形にはすべて振出人の肩書住所として訴状記載の被告肩書住所と等しく「大阪市旭区今市町二丁目一八番地」が表示されているものと認められること、

c 成立につき争のない乙第一号証の一、二によれば、奥林理市は、ある時期において同所に居住していたけれども、真実の奥林昭二は、同所に居住しておらず、原告の訴提起後届出にかかり本件訴状の送達を受けた「同市同区大宮町二丁目一四番地」に居住しているものと認められること

を綜合して、原告は、当初奥林昭二の氏名を称していた奥林理市を被告として本訴を提起したものであるが、同人に対し訴状が送達されぬまま、その後被告を真実の奥林昭二に変更したものと認めるのが相当と考える。そして、こうした任意当事者変更は、訴訟法上当然許さるべきであるから、本件においては、原告と新被告の奥林昭二との間の訴訟につき本案の裁判をなすべきものであり、これについてなんらの障碍をも認めることができない。(戸根住夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!